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斗鬼は月明かりが射す部屋の中で眠る椿に近づくと今まで大陰が座っていた椅子に座る。
椿は窓から差し込んだ月明かりに照らされて幻想的な雰囲気を醸し出している。
斗鬼はそっと右手を差し出すと、そのまだ金髪に染められている髪に指を通す。
髪はサラサラと指の間をすり抜けようとする。
指から通り抜けようとする髪を斗鬼はそっと掴んでそのまま口元に寄せて唇に触れた。
『椿………』
斗鬼は髪から手を離すと優しく頭を撫でた。
『んっ………』
すると椿が小さな声を漏らしてゆっくりと目を開けた。
とろんとしたその目眠そうな目が斗鬼の姿を捕らえる。
『……ひいらぎ、くん?』
未だに夢うつつな椿に斗鬼は優しい顔をすると
『寝ろ』
そう言って頭に置いていた手を目に降ろした。
そうしてしばらくすると規則正しい寝息が聞こえ始めた。
『…………』
斗鬼は椿の寝顔を見て一息つくと静かに椅子から立ち上がり部屋を出た。
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