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昼休み。慎夜は屋上で携帯電話をいじりながらパンを食べていた。
《あの世》にも携帯電話は存在する。たぶん携帯電話を作る会社に働いていた人が死んでここに来た時に作ったんだろう。
慎夜はニュースである記事を見つけた。
連続通り魔事件。帰り際の学生を次々と襲っているらしい。この前俺の学校でも犠牲者が出た。ある程度の傷ができようとここにいる人達は死なない。もうここは《あの世》だし。でも致命傷になる傷がつくと死ぬ人もいる。ここで死んだらどうなるのかは知らない。ただこの連続通り魔事件では死んだ人がいる。
「隣いいかのぅ?」
慎夜は顔を上げた。
そこには紅が立っていた。
「あぁ、いいよ。」
紅は慎夜の隣に座った。
「そういえば、お主誰だっけ?」
「はぁ?確か朝礼の時分かってたような事を言っていたよな?」
「嘘じゃ。冗談が通じんヤツじゃな。」
「悪かったな。つまらないヤツでね。」
「むっ。それは何じゃ?」
紅が俺の左手を指差して尋ねてきた。
俺の左手には携帯電話がある。
「これ?」
「そうじゃ。」
「知らないのか?」
「その物体はどうでもいいのだ。そこに書いてある記事について聞いているのだ。」
「??連続通り魔事件の事か?」
「お主はこれをどう思っている?」
「人は決して犯罪を犯してはいけない。何があっても。」
紅は少し驚いた顔を見せたがすぐに笑顔になった。
「お主、面白いヤツじゃのぅ。」
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