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【たった一つの約束も無い。】
想いはいつだって一方通行で、そんなの、自分が一番よくわかってる。
恋人の前提が犬、なのだから、僕から彼に何か言うことなんて滅多にない。
ていうかお願いしてみても、聞いてくれる可能性なんて、一割有れば良い方だ。
そんな彼との関係なのだから、約束事などと言う甘いものが在るはずも無く。
ここに在るのは唯、決まり事と命令に緩く縛られた日々と、彼の気まぐれに振り回される僕だけだった。
それをわかって居ながら、目先の幸福に縋る僕。滑稽だと、自分で思う。
少しだけで良いから、僕に執着してくれはしないだろうか。
気まぐれでも良いから、僕と同じ世界を見てくれはしないだろうか。
きっとそんなことは無理だと、わかって居ながらも、密かに願った。
一度で良い。君と、同じ世界が見たい。
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