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【それでも愛していたかった。】
洗いざらい吐かされ、陽の言葉を待つ。
「……不毛っつーのは、自覚あったのか……。」
心底意外そうな声音の呟きに、当たり前じゃないか、と唇を尖らせた。
「だって僕は、愚かだけど馬鹿じゃないって、自負してるよ。」
「頭の良い馬鹿ってやつだな。……それで?」
「え?」
唐突に問われて、きょとんとすると、陽は溜息を吐いて続けた。
「そんなことをうだうだ考えて……別れよう、とでも言い出すか?」
「……へ?」
「あ?」
「はぁああぁあぁああああ?!!」
「るっせぇ黙れ埋めるぞ!」
つい大声をあげてしまった僕に蹴りをかまし、陽は足を組み直す。
「いたい……。だって陽が意味不明なこと言うから!」
「それは何か、俺が言ったことが間違っているとでも?」
「すみませんでした。でも、僕が陽と別れるなんて!君に捨てられたならわかるけど、自分から言い出すなんて有り得ない!」
表情に影を見せた陽に素直に土下座してから、顔を上げてわめき立てる。
「……駄犬が、生意気に……。」
くく、と喉を鳴らして笑う陽に、決まってるじゃないか、と頬を膨らませた。
僕の主人は君だけだ。
「例えどれだけ不毛でも、」
「君を愛して居たいよ、陽。」
誓えるのか、と勝ち誇った笑みに、あの日が重なった。
……そんな、とある昼下がりのこと。
了
なんかバカップルに見えるんですが、私がおかしいんですよね?
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