resonator

めぐり合う者

「九十九翔（つくもしょう）…翔さんって言うんですね。翔さんはどこ出身なの？」

「…東海地方のしけた町」

「いいじゃんいいじゃん。でも東海地方ってどこ？」

「…日本の真ん中ぐらいかな」

「日本の真ん中！すご～い！！富士山に住んでるんだ、いいな～！！」

…さっきからこんな調子でこの子、加藤愛奈（かとうあいな）からの質問攻めにあっている

看守さんが言ってたもう一人ってのがこの子で、飛行機に先に乗り込んでいて俺が中に入った時には通路を挟んで反対側の席に座ってたんだけど、俺の隣の看守さんを押しのけて隣の席にやって来た

ルックスは正直に言わせてもらおう
かわいい、すごい好みの顔立ち

そして比較的高い身長に、肩にかかる程度に伸びている黒髪、そしてそこまで自己主張のないボディライン

これは今までいいことがなかった俺への贈り物なのか…？

ただなぁ―――

「いや、日本の真ん中は新潟の方にあるって聞いたことがあるよ…」

「へー、そーなのかー」

「それに富士山は人の住める場所じゃないからね」

「！？」

「そこでなんでそんなリアクションするの！？」

「だって山小屋の売店の人ってそこで生活してるじゃんか！？」

「夏場はね、冬の富士山は人が死ぬレベルの寒さだから！」

ただ、この子との会話は面白いけどすごく悲しくなってくる