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「…それで加藤さんは―――」
「”加藤さん”はやめてよー、アイちゃんって呼んでー」
ヤダよ…恥ずかしい
「愛奈はどうして刑務所なんかに入ってるの?」
「そこを聞いちゃうかー、やっぱり知りたくなるよね」
こういう話の時はまず自分の経緯から話すべきなのだろうけど、俺にはなんで捕まったのかさっぱり覚えてない
だから、愛奈の話を聞きたくなった
「実はさぁ、一昔前までお医者さんを目指していたんだけどね―――」
大丈夫なのか…こんな無知なのか天然なのかわからない医者がいて…
「現場での実習中の頃に先生に言われたものと間違えて投薬しちゃってねー、」
「何を投薬したの…?」
「ん?あれあれ、塩化カリウム」
「!?」
塩化カリウムを誤って投薬する医者がいてたまるかよ!つまりはこいつ、患者を医療ミスで殺してんじゃねぇか!!
「担当の先生が気づいた時にはもう15人ぐらいはコロッと逝っててねー。いやぁ、あれにはビックリだったよ」
15人ぐらいって……
天然って行き着くとこまで行くとこうなるのかな…
「まぁ、仕方ないんじゃない?ミスはミスだし、テヘ☆」
…謝れ、お前は遺族に全力で謝れ
「でもさぁ、おかしいと思わない?」
「愛奈の聴覚器官?」
「違うよー、私の耳は正常。だからさぁ、なんで薬品棚に塩化カリウムが置いてあったのかってこと」
そこは問題じゃない…!この子、論点が人と違い過ぎて泣けてくる
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