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後半は皆疲れが出たのか、やや覇気に欠けた展開となった。
スタミナに自信がある晃行が中心となって白がジワジワとラインを上げてくる。
紅のディフェンスは央明が淡々とマークに入り、白チームの攻撃をカットしていく。
次第に試合は散発的なボール回しの応酬になり、二十分の後半を終えた。
悠太も試合が終わる頃には息が上がっていた。
笛とともに座り込むヤツは皆二年だった。
『おい、座ってないで集合!』
晃行の太い声がグラウンドに響いた。
持田は試合前と同じ表情で同じ場所に立っていた。
笑うでもなく、怒るでもない。
とらえどころのない表情とでも言えばいいのだろうか。
『お疲れ様』
静かな声が持田からかかった。
次にどんな言葉が続くか。
試合内容が良いとは言えないものだっただけに悠太は不安でたまらなかった。
『よく走ってましたね。じゃあみんな、風邪を引かないように汗を拭いて帰って下さい。また明日』
表情を変えることなくそう言い残し、持田は校舎の方へと歩いて行った。
皆がぽかんとその場に突っ立っているように見えた。
そして、何人かは悠太を横目でちらりと見るのがわかる。
一体、どういうことだ。
そんなメッセージが込められているようにしか思えなかった。
悠太は下を向くしかなかった。
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