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次の日は校内模試があった。
夕方まで数学や英語の問題と向き合う。
今日はあまり時間がないから筋トレかな。
昨日もスタミナ不足が露骨に出たし。
現代文の問題を解き終わって、悠太はそんなことを思い巡らせていた。
一日一日、時は過ぎて行く。
センター試験まであと○○日。
そんな張り紙もいつの間にか教室に登場していた。
休み時間にはどこの大学がいいだとか悪いだとかそんな話が飛び交う。
どこの大学に行きたいのか、悠太もよく聞かれるようになった。
しかし、その度に悠太は答えをはぐらかしていた。
実際、どこの大学を受けるかなんて真剣に考えてもいなかった。
中学生の頃は、医者になりたいと思っていた。
なぜかはわからない。
単なる憧れかもしれなかった。
そういえば高校一年の時、恵はサッカー選手になりたいといっていた気がする。
まさか未だに目指しているとは思えないが。
その日の練習は部員の集まりが悪かった。
三分の一は欠席していた。
持田はグラウンドに現れると変わらぬ様子で話し始めた。
『今日はボール回し、そして紅白試合をやろう』
恵の表情が曇るのが遠目にもわかった。
しかし、何も言わずボール回しを始めた。
持田はどういう考えでこんなメニューを組むのか。
筋トレやドリブル練習、シュート練習……
他にもやるべきことは山ほどあるのに。
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