white

2/6
22人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
「雪ふれー。」 その言葉は雪より薄い白い水蒸気になった。 「なにやってんの、梓。」 すぐに消えた水蒸気にばいばいをしていたらそう声をかけられた。 「あ、要。」 「あ、じゃないよ。」 振り返れば声の主はさっむい、と言いつつマフラーを巻く要だった。 「で、なにしてたの?」 「念じてた。」 正直に答えれば、は?と怪しまれた。 嘘ついてないのに。 「雪降りますように、って。」 「…相変わらず梓は不思議っ子だ。」 説明を追加したら更に怪しまれた。酷い。 「雪、降って欲しいじゃん。」 「そう?俺は寒いから別にいいんだけど。」 「(寒がりめ、何歳だよ。)」 と心の中で毒づけば今馬鹿にしたよね?と睨まれた。 別に馬鹿にしてないんですけど、と言い返す勇気もないあたしはただ苦く笑っておく。 .
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!