刑事の章2

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「そう言えば、今日も営業されていたんですね」 中里にこれ以上失礼な発言はさせまいと、一之助は話題を大きく変える。 「場所を借りて営業をさせていただいている身ですから、休むには色々と手続きが必要でして…今回はそれが間に合わなかったんです」 林田は苦笑混じりに答えると、コーヒーの注がれたカップを一之助たちの前に置いて向かい側のイスに腰を下ろした。 「私からでよろしいでしょうか」 「お願いします」と、一之助はメモ用のペンと手帳を取り出す。 中里は彼女に刑事の顔を向けた。 「まずは、林田さんの昨日1日の行動を再確認させてもらってよろしいですか?」 「昨日は早番でしたので、10時から20時まではお客様を相手にここで施術をしていました。誕生日パーティーの準備のため、退勤後は同じく早番だった鍋島店長とスーパーへ」 「どちらのスーパーです?」 「このショッピングセンターの1階にあるスーパーです」 「その時ケーキは?」 「ケーキは辻さんが担当でしたので私たちは買いませんでした。彼女は昨日はお休みでしたから、隣の市にある有名店へ買いに行ってもらったんです」 辻香奈女――事件現場にいた5人のうちの1人で、三橋からの報告によるとケーキは確かに彼女が買っている。
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