刑事の章3

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「ここ最近村中さんに変わったところはありませんでしたか?例えばなにかを悩んでいるようだったとか」 中里の問いに横谷はわずかに思案して―― 「…鴇崎さんのことで」 と、呟くように答える。 「悩んでらっしゃったんですか?」 「付きまとわれて困っていると言っていました」 「付きまとわれて?」 「オーナーは優しい人なのであんなコのことでも放っておけなくて、何度か一緒に出かけたことがあるみたいなんです」 「村中さんが?鴇崎さんと?お2人で?」 「だからって別に変な意味じゃなくて。入社したばかりでみんなと打ち解けられない人がいたりすると、オーナーはその人のことを必ず遊びに誘うんです。私も最初の頃はみんなと仲良くできなくて…でもオーナーが遊びに連れていってくれて、みんなの良さを教えてくれて。おかげで店長や副店長とも仲良くできるようになりました」 「…なるほど」 「だけど、中にはそんなオーナーの優しさを勘違いしちゃう人がいるみたいで…オーナーは自分のことが好きなんだって」
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