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『好き』
私はアナタが大好きだった
顔も、髪型も、手も、足も、声も、背も、心音も、ぬくもりも、性格も、なにもかもが好きだった
ある日私は、アナタの何が一番好きなんだろうって思った
だから、ある日
アナタの顔を剥いでみた
アナタは顔を失ったけど、私はまだアナタが好きだった
次に、アナタの髪をむしり取った
アナタは髪型を失ったけど、まだ好きだった
アナタの手足を切断してみた
アナタは手足を失ったけどまだ好きだった
声帯をとってみた
アナタは声を失ったけど、まだ好きだった
身体を切断して、小さくしてみた
アナタは身長が変わってしまったけど、まだ好きだった
トクントクン脈打つ心臓を取り出して、握り潰してみた
アナタは心音を失ったけど、まだ好きだった
しばらくそのままおいといたら冷たくなっていった
アナタはぬくもりを失ったけど、まだ好きだった
とにかく、アナタを切り裂いて、叩き潰して、ぐちゃぐちゃにしてみた
アナタはなにもかも失ったけど、それでもまだ好きだった
ただの血肉の塊と化したアナタを前にして、私はアナタと言う存在が好きなのかもしれない
そう思った私はアナタの血肉を燃やした
アナタはアナタという存在を失ったけど、私はアナタを好きだった
それで気付いた
私はアナタの明るくて優しい性格が好きだったんだ
答えがでて私は満足した
でも、わたしの愛したアナタにはもう会えない…
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