80人が本棚に入れています
本棚に追加
『好き』
私はアナタが大好きだった
顔も、髪型も、手も、足も、声も、背も、心音も、ぬくもりも、性格も、なにもかもが好きだった
ある日私は、アナタの何が一番好きなんだろうって思った
だから、ある日
アナタの顔を剥いでみた
アナタは顔を失ったけど、私はまだアナタが好きだった
次に、アナタの髪をむしり取った
アナタは髪型を失ったけど、まだ好きだった
アナタの手足を切断してみた
アナタは手足を失ったけどまだ好きだった
声帯をとってみた
アナタは声を失ったけど、まだ好きだった
身体を切断して、小さくしてみた
アナタは身長が変わってしまったけど、まだ好きだった
トクントクン脈打つ心臓を取り出して、握り潰してみた
アナタは心音を失ったけど、まだ好きだった
しばらくそのままおいといたら冷たくなっていった
アナタはぬくもりを失ったけど、まだ好きだった
とにかく、アナタを切り裂いて、叩き潰して、ぐちゃぐちゃにしてみた
アナタはなにもかも失ったけど、それでもまだ好きだった
ただの血肉の塊と化したアナタを前にして、私はアナタと言う存在が好きなのかもしれない
そう思った私はアナタの血肉を燃やした
アナタはアナタという存在を失ったけど、私はアナタを好きだった
それで気付いた
私はアナタの明るくて優しい性格が好きだったんだ
答えがでて私は満足した
でも、わたしの愛したアナタにはもう会えない…
最初のコメントを投稿しよう!