Stage1

3/9
前へ
/282ページ
次へ
 男は、幹の影に見を潜める。拳銃が吐き出す弾だけは、避けるのが苦手だった。その幹より先には進めない。男は、前進する方法をと模索した。 「神が付いている。怯むな行け!」  全体から聞こえて来るのはそんな掛け声だ。神とは男のことだ。男の黄髪と黄眼は、世界にひとつしかない神様の色だった。それが、男を神と呼ぶ理由であった。 「俺が居ても、全体のステータスは上がらないよ」  男は、掛け声に皮肉に答えて、走って来る兵士に紛れ込んだ。そのまま、相手が作った種術の防壁に、刀を突き立てる。  刀突き刺された箇所には皹が入り、防壁は壊れた。防壁の向こう側からは、拳銃が発砲される。男は、地べたに身を伏せる。危うく、蜂の巣になりかけて男は、鼓動が高鳴るのを感じた。  久しぶりに興奮していた。 「神を捕らえろ!」  神官が叫んだ。 「神を守れ!」  政府が、雄叫びを上げる。  男は、双方の戦いに呆れながらも、神官陣地に走り込むことを優先させた。  男の目的は、軍師だけであった。ともかく、軍師を黙らせて、政府と共に戦うことを強要するつもりだ。  火薬の売買を仕切っていた商人を黙らせてから、政府側には満足に火薬も手に入らない状態だ。共に戦うのが無理ならば、せめて、火薬を奪おうという考えもある。
/282ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加