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然し、話はうまくは行かない。攻め込んだ陣地で待ち受けていたのは、空飛ぶ蜘蛛だった。
それが、式紙だと気付いて、身構える。蜘蛛が容赦無く糸を吐き出したので避けた。
白い糸が、地面にある屍を吊り上げる。
屍が男に襲い掛かった。
男は、慌てることなくそれらを捌く。鍛冶四屋のベル改良してくれた刀は、糸を断つ。
「降りて来ない?」
空に向けて問い掛ける。蜘蛛に乗っている式紙師は、小さく笑むだけだ。男は式紙師に声が聞こえていないのかと思いながら刀を仕舞う。
蜘蛛を操る式紙紙は、要望に答えない。仕方ないので、人間を踏み台にして蜘蛛の上に飛び乗った。
式紙師の女が、悲鳴をあげる。
「引きずり落とすよ?」
男は、静かに忠告した。式紙師の女が笑う。切り替えだけは、早いようだ。男が警戒すると同時に、蜘蛛が消え、二人は真っ逆さまに、地上に落ちる。男は、式紙師を抱えて着地した。
そこを鉄砲に狙われて、足やら腕やらから血が流れ落ちた。
男は、女を捨てる。一息に、狙い撃ちしてきた射撃手を殴り捨てた。撃たれた腕から血は落ちる。痛みに耐え兼ねて、歯を食いしばる。
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