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「その質問、何回目?」
好い加減にしろとばかりに、男は、床に拳をたたき付けた。
衝撃が、床を這い、式紙師の女を吹き飛ばす。
男は、式紙師の女に構わずに、火薬置場を探した。外では、結界の破壊が、完全に神官の足並みを乱している。
その隙に付け込んで、政府も容赦無く攻めてきた。
男は乱闘の中で、火薬を見付けると、種術で火を付けて投げ捨てる。
弾けた火薬が火花を生み、木々に燃え移る。熱風が吹き荒れたその中を男は、駆け抜ける。
「神官が撤退し始めた! 政府も陣に戻れ!」
政府の軍師が、叫んで、太鼓が鳴る。政府も引き際だと感じたのだろう。
男は、足を止める。山頂にはまだ、雪がある。男の目的は、雪崩であった。
「火を消せ、神官は後回しで!」
勘の良い参謀が、馬を率いて走って来る。男は、笑って出迎えた。
「神官で動けそうな奴を兵士として使いたい。捨てて行くのは勿体ないから、荷車に乗せてくれ」
「神よ。貴方は、何がしたいのですか。山昇りの前にも、兵士を無理矢理同行させたではありませんか。これ以上、兵士を増やしても統率が取れなければ無意味です」
参謀が、明らかに苛立っていた。
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