身の程を弁えたゴキブリ。

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  俺は冷蔵庫からオレンジジュースを取り出してグラスに注いだ。 「せいっ!」 天野(そらの)は顔に似合わぬの太い声をあげてベットにダイブした。 「ベットで溢したら汚れるだろ、降りてくれ」 そう言いながらグラスをテーブルに置く。 「また細かいことを…だからいつまで経っても糞味噌怪獣デストロイヤーのままなのよ」 「なんで怪獣に進化したんだ、というか糞味噌系って俺なのか?」 「だって管理人さんに狙われていたし…」 「ん…!?その話は本当なのか!?」 「嘘はつかない主義だから、私が付き合っていなかったら今頃管理人さんと突きあっているはずね」 「それが言いたいだけだと思っていたが…」 「まさか…そんな理由で糞味噌だのあべさんだの言えるわけないでしょ」 …呼吸するように連呼していたのは誰か。 天野はベットから降りてテーブルに置かれたオレンジジュースを飲み始めた。 じゅるるる… 「…。」 「……。」 「ストローはないの…?」 「ぁあ!今出す」 食器棚からストローを出して与えると、何やらまた不機嫌そうに飲み始めた…。 … …黙ってれば可愛いのに。 しかし当然大人しくしているような奴ではない。 「さて…大切な話の件だけど」 「?おう」 「お名前のことなんだけど…」 そうだった…。 これはなかなかのミスである。 自分は聞いておきながら、名乗るのを忘れていた。 「ごめん、俺は慧だ。 戒定慧(かいじょう さとし)」 「ああ、まぁそんな事は後でもいいの」 なんだろう…。 この足蹴感は…これが仮にも彼氏に対する態度か。 「私が名前で呼んでもらってないから」 「あのなぁ…」 「私がボケたらツッコミは"お前"で構わないけど、普段は名前で呼んで……いや呼ぶまで慧をデストロイと呼ぶ」 「お前が恥ずかしいだろ」 「……。」 「………。」 「…チッ」 「おい」  
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