身の程を弁えたゴキブリ。

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  「とにかく呼べばいいの!」 こんなに黒いものを秘めた照れ隠しがあっていいのか。 萌え、というのはだな… いやここで語っても何も得るものはあるまい。 「…わかったよ、でもその前に一つ気になったんだけど」 「何?デストロイヤーの方が良かった?」 「いや違う、最後まで聞け」 「…む…」 「さっきのボケとかツッコミって何のことだ?"お前"の使用許可が出るタイミングがイマイチ分からない」 「ああ、それなら私が意味の分からないことを言った時なら大体大丈夫」 「いや大体意味の分からないこと言ってるだろ…」 「それは慧が馬鹿なだけ、彼女の空気感くらい見極めないと」 「…んー…」 「間違える毎に1デストロイ貯まって10デストロイで進化ね」 「こんなに嬉しくないポイント制度も珍しいな」 「三回進化したら究極完全体グレートデストロイ…まぁ命はないと思ってて」 「何する気だよ!」 「さぁ?間違えなければいいだけの話」 ――進化したら死ぬ、究極完全体なのに。 どう考えても人類には早すぎるシステムだ。 「ところでまだ名前を呼んでもらっていないけど…?」 「ああ…なんか改まってとなると言いにくいな…」 「…。」 「……。」 「今1デストロイね」 「おい!まだ何も言ってないじゃねぇか!」 「いいの!加算は私の独断で行うから」 「それはあんまりだ!」 「今2デストロイ」 「ちょ…!」 「あれ、楽しくなってきた」 「やめい!!」
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