身の程を弁えたゴキブリ。

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  玄関先で向き合う二人。 ―――それは唐突だった。 「戒定君、キスをしましょう」 「…その台詞どこかで聞いたことがあるぞ」 「拒否権はないわ、いいえ認めない」 「いや俺は………っ!」 っっ持っていかれたぁぁぁぁぁああああ!!! 錬金術師風に言うとこうなる。 ではサイヤ人的に言うとどうなるか。 ナッパぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!! これだ。 つまりキスをされた。 唇を奪われた。 純情に証を残された。 "今日は月が綺麗ですね"と囁かれた。 ナッパは死んだ…。 「…何を赤くなっているの?」 「っ…急に、お前が…」 「駄目、ボケてない」 「っく…」 かなたは真剣な目をする。 そんな顔をされたら、余計恥ずかしいではないか…。 「大丈夫、私もハジメテなの」 「どういう理論かは分からないがそれがフォローや告白なら、 ――――ありがとう…」 かなたは小さく微笑み、その頬は少し赤く染まってみえた… 「うん。 …明日はスティンガーで決まりね」 「何故だっ!」 かなたは俺の質問には答えず、さっさと部屋に入っていった…。 ――――俺の苦労はまだまだ続きそうである…。  
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