屁は臭い、だから面白い。

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  「泣くことないでしょう」 隣人(雌)の手にはしっかりと"俺の携帯電話"が握られている。 「知るか!あんた何なんだよ!?俺に恨みでもあるのか!?」 この涙はあれだ。 人の哀しみに触れた時のあれだ。 「…なさい」 「え?」 隣人(雌)はすっと俯いて背中を向けた。 「…めんなさい…なさい…ごめん…さい…ごめんなさ…ごめんなさい…めんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」 …? 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 「わかった!わかったから!」 鳥肌が立った。 それは奇怪以外の何物でもなかった…。 「…ごめんなさい」 「いや大丈夫だから…」 「…振り向いても、いい?」 ――細い声。 「う、うん」 「…何も、言わないで?」 「…わかったよ…」 バサッ… 「目を見て…!!」 突然振り向いた隣人、思わずその目を見てしまった。 馬   鹿 左右の目にそれぞれ文字の描かれたコンタクト。 「…。」 「……。」 「笑いなさい」 「無理だろ」
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