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優子が学校へ向かう頃、優子の母親は優子の残した朝食の後片付けをしていた。
『ふう。』
母親は、全てを吐き出すように長くため息をついた。
去年までの優子は、割と素直だった。
なにか頼み事をすれば、嫌な顔せず進んで頼まれてくれるし、朝食もこんな風に残したりはしなかった。
朝、起こしに行っても煩わしい顔などしてはいなかった。
『親の心子知らず――なんて言うけど、ほんとね』
と母親は呟く。
けれども、また母親もわかってはいなかった。
優子が母親の気持ちをわかっていないように、母親も優子の気持ちをわかっていない事を。
母と子の関係は巡り巡るのだ。
かつての自分がそうだったように―――。
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