少年

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少年は、得体のしれない人間に身をかがめてゆっくりと近付いた。 恐怖心はあるものの、怖いもの見たさで興味をそそられてしまったのだろう。 その、得体のしれない人間はまるで見たことがない格好をしていて、奇妙な出で立ちだった。 海を渡った先に、このような格好をした人間がいると聞いた事がある。 少年は、警戒しながらも顔にかかる髪をさらっとどけてみると、閉じられた二つの目が見えた。 閉じられた目元には長い睫毛がクルンと上を向いており、肩ほどの髪は艶やかで美しい。 少年が見つけた得体のしれない人間とは、少女 優子だった―――。
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