22人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「キャッ!!」
「う、うわあっ!!」
家の前にある曲がり角に差し掛かった時に、一人の女性が俺の胸に飛び込んできた。
……いや、ぶつかってきたって言うのが正しい言い方かな。
「す、すみません……!!」
とりあえず謝りながら、倒れている女性に手を差しのべる。
女性は静かに俺の手を取り立ち上がると、その手を力強く握られた。
「お願いしますっ!! 助けて下さいっ!!」
顔を上げた女性の頬には、涙の跡がくっきりと残っていた。
「っうぅぇ!?」
あまりにも突然なことに素っ頓狂な声が出てしまった。
それでもよく見ると、彼女は身長が低く幼い顔をしている割に胸はっ……ゲフンゲフン。
さらに先っぽだけ色が少し明るい赤茶色の髪からは、甘い香水の香りがほのかに伝わってくる。
俺はごくり、と唾を飲み込んだ。
「それなら……俺の家に来ますか? すぐそこなので」
勇気を出して言ってみると、彼女は潤んだ目を輝かせた。
「い、いいんですか? ありがとうございますっ!!」
最初のコメントを投稿しよう!