人間と洞窟

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むかしむかし 雪が降り積もる とても寒い山がありました。 そこに、心は優しいが ボロ雑巾のようなみすぼらしい人間がおりました。 人間たちは冬の間洞窟で寒さをしのぐかわりに洞窟の修理をするのが決まりでした。 そしてこの人間も、この寒い冬の間寒さをしのぐ洞窟をさがしていましたが、洞窟たちは人間があまりにもみすぼらしいので自分のところには入るなと人間を拒絶していました。 その人間は心が優しいので怒りもせず、入るなと言われた洞窟には絶対近寄らないのでした。 そしてだんだん本格的に冬が始まるころ 人間は山奥にあった洞窟を見つけ入ってもいいかとたずねました。洞窟はもちろんと答え人間はやっと安心して冬を越せる場所を見つけたのです。 人間は自分を受け入れてくれた洞窟をまるで神のように思い、それはそれは丁寧に、丁寧に洞窟を修理しました。 その修理は今までこの洞窟を修理していたどの人間よりも丁寧で正確だったのでした。 そして本格的な冬が始まった日 人間はその洞窟に出ていけと追い出されました。 洞窟は他の洞窟たちにあんなみすぼらしい人間を入れるなんて洞窟の恥さらしだと言われていたのでした。 人間は訳も何も聞かず一言"ありがとう"と言って去っていきました 洞窟は人間を拒絶してしまいました。 そして拒絶され続けた人間はどこかに消えていってしまいました。 おしまい
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