§ ファーストターゲット §

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部屋にはほとんど何もないので、棟梁が座っていた机を探すとあっさり手がかりが出てきた。 それは今まで建てた家の情報をすべてまとめたノート。 5冊もあったが、その内の2冊には×印が大きく書かれている。 開いてみると予想通り建ててしまった欠陥住宅だった。 各家のページの右上にも×印がかかれている。 最後の1ページを除いては・・・ 他の3冊からも1冊取り目を通すと、完成した家にもところどころ×印がつけられている。 「これって完成したやつじゃないのか?」 「代償に使ったんだろ」 俺の問いにデラスが答える。 「代償に使えるほど大切に思ってたんだな…… いちいち使った家のページに印までつけてるなんて」 「代償に使われた家の人はビックリするだろうねぇ~、突然家が消えちゃってさぁ」 よくこんな真面目な場面で言えるな。 まぁいつも通りか。 「っでどうすんだ?」 「行くしかないだろ? 欠陥箇所も書いてるし、それを住人に言えば引っ越しするよう頼むのも、少しは楽になるだろう。 後は住人の心の暖かさに任せよう」
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