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「頼むって、いきなり知らねぇやつに引っ越してくれなんて言われて、すんなり引っ越す奴なんていねぇだろ。
その前にこんな世界じゃ、話しすら聞いてくれねぇよ」
確かにデラスの言う通りだ。
今すぐにとは言わない、住んでる人にも生活がある。
だから俺たちができることは全てやって、また時間が経ってから空き家を壊しに帰ってくればいい、そう考えていた。
「本当に今の人々が他人を思いやる気持ち、心の暖かさを忘れていなければ、棟梁の願いは叶うはずさ。
そういう世界にならなければいけないんだ」
「でもよう、それはこっちの事情を無理やり押し付けることにもなるんじゃねぇか?
本当にそれが他人を思いやる気持ちなのかよ」
デラスは現実的な考え方だ。
言っていることも筋が通っている。
こんな世界で育った俺自身も、他人を思いやる気持ちというものを本当に理解しているかわからない・・・
「でも…信じるしかない、人間にしかない他人を思いやる気持ちを…」
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