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地味に傷へ響く車の振動。
棟梁のビルを出てから、もう3日ぐらい経っただろう。
棟梁の願いのため、二人目のターゲットのところには向かわず、ノートに書かれていた欠陥住宅に向かっていた。
まだ昼間なのに空は曇り始め暗く、重い空気がたちこめている。
窓を開けて走っているけど、風は生暖かくとても気持ちいいとは言えない。
デラスは俺の傷を思ってか、代わるはずだった運転をずっとしてくれている。
フェルは後部座席で棟梁のノートをじっと見ている。
「それそんなに面白い?」
俺が聞いてみる。
「なんか欠陥の細かい部分まで書いてるし、その方法とかごまかし方がすごいんだよぉ!
難しいとこはよくわからないけど」
そう笑顔で返してくる。
まぁフェルが楽しんでるならいいや。
そう思い、ふ~んと返して前を向く。
そんなリラックスしたムードが続いていた。
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