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何が起きたが理解できなかった。
「へへへ、いいダンスだったぜ。まぁそのメタボはいただけねぇけどよォ!!」
返り血を浴びた若者は笑いながら去っていった。
俺も野次馬達も何が起きたかわからず固まっている。
吹き飛ばされた頭と司令塔を失った体はまだピクピク動いている……。
辺りに漂う臭いには、新たに生臭い臭いと鉄臭い臭いが加わった。
ふと我に帰り追いかけようとするが、デラスが俺の肩を掴んでくる。
「何してるんだ、早く追いかけよう。
あんなやつ放っておけば、また一般人が巻き込まれるかもしれないだろ?」
しかしデラスは首を横に振る。
「やめとけ、あいつただのコンバーターじゃねぇ」
俺には意味がわからない。
「何が起きたんだ?」
「あいつが鉄パイプを囮にメタボに近づき両手でメタボの顔と腹を触った次の瞬間、ああなってた。
あの動きと殺気…どう見てもその辺のコンバーターとはちげぇ。
こういうのは迂濶に手をださねぇほうがいい。
死にたくねぇならな」
デラスの言葉には重みがある。
おそらく経験がそう言ってるんだろう。
俺は素直に追うのをあきらめた。
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