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残ったのは戦いの痕と、おっさんの死体、巻き込まれた犠牲者……。
戦いが終わったからか野次馬はひきはじめ、止まっていた車も動けるものはどんどん現場を過ぎ去っていく。
みんな死体を見て特に騒ぐわけでもなく普通に去っていく、こういうことが日常の一部になっていると実感できた。
俺は能力を使いながら、ぐちゃぐちゃになった車内から死体を助け出した。
あのまま放っておくのはかわいそうだから…
能力を使っている俺に、通っていく人々は冷たい視線を送ってくる。
コンバーターは一般人から嫌われる存在だからしかたない・・・
そんなことは気にせず、死んだ人たちの墓を大通りの脇道を入ってすぐの空き地につくった。
もちろんおっさんのもだ。
簡単に一般人は殺される。どこにいても……。
だからか空き地には俺達がつくったもの以外にも何個か墓があった。
悲しい現実だが、俺達みたいに巻き込まれた人の墓をつくってあげる人がいるということは嬉しい。
まだみんなが完全に思いやりを忘れてはいないのだから。
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