3.再会

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「アレク」 ひどく優しく低い声で名を呼ばれる。 身の危険を感じ咄嗟に二剣を抜刀し身構える。 その声を知っている。 会いたくて、しかし会いたくないという葛藤の渦の中、それは見えた。 「…………セシリア」 ぴちゃ、と水の音をたてながら姿を現す。 嘗ての親友であった、それが。 「久しぶりだねアレク。しばらく逢わないうちに顔つきが変わったね?」 「そういうお前も変わったな。顔に入れ墨かよ………」 声の音程からして少なくとも好意は、ない。冷たく突き放されそうな、声。 わかっていた。彼の鎖骨には忌々しい刻印が。 「かつて親友であった二人は袂を別ち別々の道を歩み始めた、とでも言いたそうだね。何故君があちら側にいるのかと」 「セシリア、なんで…………」 「死んだはずなのに、かな?…僕は生き返った。彼の実験のお陰でね」 「実験…?」 「そう。彼には感謝している。そして僕はその恩返しのために働いている。つまり、市民宝石を狩っている」 「何故だ!?」 声を荒げて詰め寄る。あの誇り高き騎士であった彼がなぜ堕落してしまったのかと。 「何故って…さっきも言っただろう、恩返しだと。騎士の誇り、それは命を救ってもらったものには敬意を払え。そして命を尽くして従え、と」 「だからってこんなこと…していいはずがない!!」 両手に備えた二剣を握りしめる。 構え、威嚇する。 「……残念だよアレク。君とならわかり合えると思っていたのに!!」 剣を抜刀すると力強く踏み込み一瞬でアレクの懐に迫る。 一瞬焦りの色を見せた彼だったが直ぐに体勢を立て直し剣劇を受け流す。 とっさに後退り、セシリアに迫る。 だが相手もまたさるもので、アレクの動きを見切りギリギリのところでワザと交わして見せる。  
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