3.再会

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剣の腹でアレクの背中を強く打ち付ける。小さく呻いた。だがやられているだけではない。 「扇衝破!!」 タイミングをずらし二剣を振り衝撃波の波を作る。 扇状になってはそう簡単には避けられるはずはない。だがその予想は打ち砕かれた。 直撃するどころか、彼はその衝撃波を剣で相殺し、挙げ句の果てには 「地閃牙!!」 渾身の一撃を地面に叩きつける。剣先から地面が割れ、そこから地が隆起する。 鋭利な凶器と化したそれはアレクを容易く貫いた。 「が………っ!?」 心臓への直撃は免れたものの、脚に深々と突き刺さるそれは動きを止めるのには十分すぎた。 「腕が鈍ったね、アレク。平和ボケでもした?」 「ぁ………」 小さく呻き、激痛に耐えながら相手を睨む。しかし彼は怯えるどころか嘲笑った。 「いい様だよ。カルディナル家の後を継ぐものがこんな痴態を晒して。あきれるね」 「黙れ!!」 反論するが、確かにこの無様な姿では………。 「アレク。君には失望したよ。せめて安らかな眠りを、」 といいかけたところで突如剣風がセシリアを襲う。 「見よう見まねでお前さんの技を使わせてもらったが…実戦向きじゃねーな」 日本刀を肩でとんとんと叩くグシオン。不機嫌そうに煙草をふかす。 「かわいい教え子に何してやがる」 背後から武器を構え、佇むのはバルド。 二対一、どう見てもセシリアの方が不利だ。 「仕方ない、ここは出直しますか」 呆れて首を振り指を鳴らす。 大きな影が落とされ、上を見れば。 「なん、だあの鳥…」 見たこともない大きさの鳥に三人は驚きを隠せない。 背中に乗ったセシリアは見下した目で、 「またね」 とだけ吐いて飛び去った。 「……………ちくしょぉぉぉおっ!!!!」 怒りに任せ叫んだのと、意識を失ったのは同時であった。  
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