10人が本棚に入れています
本棚に追加
「父上、おはようございます」
「おはよう、アレックス」
家族唯一の団欒場所である食堂へ出れば人がすでにいた。
―――ダルバード・カルディナル。
カルディナル家当主であり、また二代騎士の内の左翼に当たる。
アレックスは席につくと話を持ち出した。
「ここ最近、B.D.の活動が活発です。殺され原動力を奪われた市民宝石の数も、今月は例月に比べかなりの数になります」
「それは私の耳にも届いている。…痛い話だな。………黒十字架。奴を倒さぬ限りはこの輪廻は続くだろうな」
「最もですが、下手に動けばこちら側が壊滅してしまいます。もう少し、もう少し様子を探らないと………」
悔しい思いで歯を食い縛る。
「お前の気持ちはわかる。だが気持ちだけが焦ってはならん。時を読め…アレックス」
「………はい!!」
話しているうちに朝食が出来上がったらしく、料理が運ばれてくる。
それらを食し、学園へと向かう支度をし始めた。
また今日も変わらないのだろうと。
そう信じて。
「では行ってきます」
扉を開き、歩み始めた。
最初のコメントを投稿しよう!