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「おはよう、紫蛇!!」
「アレックスか」
学園についてまもなく、彼がすぐに声をかけたのは同じ学園に通う紫蛇だ。
「何時も早いんだな、紫蛇」
「当たり前だ、俺はお前ら庶民と違うんだからな!」
「いや俺庶民じゃないんだけど………」
苦笑いを浮かべるも、仕方ないなと割り切った。
始業を知らせるチャイムが鳴る。
慌ててふたりは教室へと向かった。
「………疲れた!!」
「訓練ばっかりだったもんなぁ…」
パックのジュースを飲む紫蛇と食堂の机に突っ伏すアレックス。
アレックスに至っては衛生上よろしくはない。
「……なぁ、B.D.って無くなると思うか?」
「…戦っていればいつか無くなるだろう」
「………いつか、か……」
そう呆けていると食堂の扉がいきなり開いた。
「あ、アレクさん!見つけたですの!!」
「え、あ、フラン…?」
声がした方を見れば可愛らしい女性がこちらを見ている。
名はフラン。
アレクの姿を見るなり彼女はアレクに近寄る。
が、
「ストップ!!ここまで!!」
止まれ、といったポーズでフランを制止する。
「あぁ、そうでしたわね。アレクさんは女性が苦手だったんでしたわ」
「この性癖みたいなんが治ったら俺も苦労はしないんだろうけどなぁ…。B.D.の奴が女性だったらどうしよう…」
「あら、男だと思えば大丈夫ですわ」
「…………無理」
和気藹々と口を交わす。
この変わりない日常が崩れて欲しくないと願っていた。
そう、願って…………。
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