2.目覚め

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「他愛もない………」 青年は軽く剣を振るうと、行き場を失って怯える市民宝石の首が音もなく崩れた。 遅れて吹き出る鮮血。 身体はぐったりと前のめりに倒れる。 斬られた箇所からは未だにどくどくと血が流れていた。 その血の池に踏み込み、青年は胸の辺りにある宝石をもぎ取った。 「……サファイアか。価値の無い…」 宝石をもぎ取られた身体は砂のようになり、風にさらわれる。だが痕跡は残った。 血腥い臭いが鼻を掠める。 「どう、兄さん?」 「瑠璃か」 上から声がする。だが聞きなれた声だ。上を見ずそのまま返事をした。 「俺は10人狩ったぜ、兄さんは?」 「残念。俺は11人だ」 クスクスと笑う。話している内容は異様だと言うのに。 「じゃ、早いとここれ持って帰ろうぜ。アイツが待ってるし」 「それもそうだな。…しかし懲りない人だ。死人を生き返らせたところで何になる」 「あの金緑石に一泡吹かせたいんじゃね?」 「ふ………」 嘲笑うと青年は翼を広げ飛び上がる。 胸にある十字架の印が月明かりに照らされながら。 「おーいオッサン起きてるか」 「誰がオッサンであるか」 不機嫌そうに出迎えたのはリュクレール。 彼は研究者であり、今では死人を復活させる、ということが可能なまでに来ている。 かなりの逸材だ。 「頼まれた原動力と死体な。…で、アレは?」 「今は微調整といったところであるな。あともう少しすれば完成できる段階まで来ているである」 「ふーん。ま、難しいことはわかんねえや」 頭を掻きながら瑠璃は呟く。 実際彼の頭はそう良くはない。 「ところで蒼藍は?」  
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