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それでも尚逃げようとじたばたともがいていれば、顔に影が降りた。慌てて銃を撃つ。“鬼”はいともたやすく全ての弾を避けると「えっと、あと15秒です。」と、首から下げた時計を見ながら俺の残り時間を告げた。そのまま“鬼”は動く素振りを見せない。あと15秒、どうやって逃げるかを考える。“鬼”を殺すのは無理だ。逃げるにしても足はこの状況。どうする。どうすればいい。焦りが、俺を、支配する。
「あと10秒。」
静かにまた“鬼”が残り時間を告げる。それ以上は何もしない。え?俺を助けてくれるのか?僅かな希望が復活した。
「5。」
だんだんと顔がにやけてくる。俺は助かるんだ。
「4。」
このゲームが終わったら何をしようか。あぁ、やりたい事が多すぎて決まらないな。とりあえず、命の有り難みでも噛みしめようか。
「3。」
そういえばさっきから俺、色々考えてるけど、5引く3の2秒ってこんなに長かったっけ。2秒なんて5文字喋れれば十分な量じゃないのか?
俺の顔から笑みが消えていくのがわかった。
「2。」
むしろ時間、どんどん長くなっている気がする。信じたくないけど、これ、死ぬ間際の時間がゆっくり流れて思い出が走馬灯のように走るっていうあの状態なんじゃないのか?そう考えたとたん全身から物凄い勢いで血の気が引いた。
俺は死ぬ、のか?“鬼”は見逃してくれたんじゃなかったのか?
「1。」
あは、は、俺の勘違いだ、あと1秒なんだ。俺は生きて帰れるんだ。
それなのに、なんでコイツはナイフを振り上げてん
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