754人が本棚に入れています
本棚に追加
/430ページ
あれから買い物に2時間近くを費やした。
「お前らなぁ~」
光太郎もいい加減キレ気味だった。
何の恨みがあったのか、アリア以外にも光太郎は服をせがまれた。
せがんだのは沙姫、静香、ミュウと説明をするのも億劫なまでにいつもの面子だ。
季節はこれから夏で暑くなるというのに、光太郎の財布には極上のブリザードが吹雪いた。
光太郎の前行く女子達は笑い合いながら歩道を歩く。
自分は新たに追加された紙袋を持って後ろから付いていく。
「ったく、どうしたって……」
正直、小学生の身体には過ぎた荷物の量だ。
疲れたので抗議の弁を告げようとしたが――止めた。
彼女達の笑い合う姿を見たら言いづらい。
楽しくやっているなら光太郎が口出す理由はなし。
「はあ……めんどくさいな」
それは誰かに向けて言ったつもりはない。
ひょっとしたら自分の性格にだろうか?
それでも言える事はあった。
本人には自覚はないだろうが、その時の彼の表情はとても良い顔であった。
最初のコメントを投稿しよう!