『序章』と書いたら『プロローグ』って読みたくなった

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多目的室というのがどこの学校にもあったと思う。 様々な目的の為に使われる教室。 アグニエシカはその教室に入った。 教室内には椅子も机もない。 代わりに30代の男性が立っていた。 この学校の教師だろう事は容易に想像が付いた。 「待たせたわね」 アグニエシカは高圧的な態度のままだ。 「資料は読んだね?」 「えぇ」 会話に一切の無駄がない。 その方が物事を進めるのには早くて構わない。 「質問は?」 「注意事項に『子供の姿になる』ってあるけど、身体能力に問題は出るの?」 「いや、問題ない事が発覚した。体力の低下もありはしない。あるとすればリーチが短くなる位だ」 「なら、無問題ね」 強がりなんかではなく、アグニエシカ・ランスロッドには本当に問題がないのだ。 むしろ丁度良いハンデとすら思っている。 「それと君の兄から預かり物だ」 男性教諭は1枚のカードを手渡す。 「兄から?」 男性教諭から渡されたカードは彼女には馴染み深い物だった。 「『それを貸してやる』との事らしい」 「ありがとうございますと伝えて下さい」 アグニエシカは笑みを浮かべて言った。 次には身を引き締める。 「では、アグニエシカ・ランスロッド。任務に向かいます」 彼女は悠然と言って、教室を出て行った。 目的地は『魔法少女☆ミラクル』という世界だ。
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