754人が本棚に入れています
本棚に追加
暗い、暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い。
光もない。
目の前に広がるのはひたすらに闇だ。
目の前でお父さんが血を流していた光景が浮かぶ。
映画を見ている感覚に囚われた。
しかし、そんな彼女に1人の少年の姿が映し出される。
何かを言っているが耳に入らない。
何て言っているの?
その回答を示す為かどうかは分からないが、沙姫の耳に、心に届いた言葉があった。
「お前の親父さんに大怪我を負わせたのは……俺だ」
瞬間、彼女の世界は赤く染まった。
赤く紅く緋く朱くーー世界が、視界が染まっていく。
瞬時に理解する。
これは殺意なのだと、こんな齢にそんなものを発するとは微塵も思わなかった。
しかし、今はどうでもいい。
目の前に仇がいる。
それを倒さねばならない。
復讐してやるーー彼女の心はそれだけに埋め尽くされた。
そして、少女は少年を許せない。
同等の報復を誓う。
今まで信じていたものがあっさりと瓦解する。
だから少年とのーー皇光太郎ーーとの決別を誓った。
最初のコメントを投稿しよう!