誰かの為に生きる世界

30/38
754人が本棚に入れています
本棚に追加
/430ページ
それから数日が過ぎて沙姫は退院ができた。 徹也の方はまだ先の話らしい。 身体が鈍ると嘆いていた。 彼は自分が怪我をした理由を覚えていない。 意識を完璧にミクトリアンに乗っ取られていたようである。 つまり、真実を知るのは光太郎と沙姫のみだ。 光太郎は自分の言った事を撤回する訳にはいかないので黙秘を貫く。 一方の沙姫は言い触らす事ができたにもかかわらず、それをしていない。 光太郎はいつもと変わらぬ生活を送っては来たが……それも今日までか。 「光太郎。今日の夕方に公園に来て欲しいの」 これは沙姫の言葉だ。 これから先に何が起こるのかーー疑問に思うのも無意味だった。
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!