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「今日はここまでとする!!」
「……ふぅ」
田端のその言葉に、愁香は疲れたように大きく息を吐いた。
前日に続いて武器戦闘の授業は過酷で、今日も多数の生徒が倒れていた。
なんとか最後まで立ち続けた生徒も、授業終了の掛け声と共に地面に倒れ込んでいった。
「腕が痛い。足が痛い。節々が痛い!!」
愁香の足元でそう叫ぶのは、昔からの知り合いで、ルームメイトでもある中野琴音(なかの ことね)だ。
彼女も授業終了と同時に地面に倒れ込んだ一人で、空を仰ぎ見るように大の字になっている。
「全く、だらしないわね。かなり疲れたけど、そんなみっともない姿になろうとは思わないわ」
「周りを見てみなよ。立ってる人数の方が遥かに少ないよ?」
悲鳴にも似た声で言う琴音に、愁香は呆れたように溜め息をつき、もう一度辺りを見回した。
田端と他の教師が会話していた内容によれば、今日の医務室行きは93人と、前日よりも約10人も増加していた。
愁香のように立っている方が圧倒的に珍しいのだ。
少しだけ納得がいかなかった愁香だが、かといって琴音に説教をするほどの体力も残っていない。
いつもと変わらない振る舞いを見せているとはいえ、愁香も限界寸前なのだ。
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