1人が本棚に入れています
本棚に追加
「愁香は首が弱点なんだもんねー?」
昔から、愁香は他人にうなじを触られるのが苦手だった。
しかも、運の悪い事に、それを琴音は知っていたのだ。
逃れようにも、背中におぶさっている琴音から逃れることなど出来る訳もなく、愁香は上を向く事でうなじを隠し、琴音の頬から逃れるしかなかった。
「ぉ、落っことすわよ?!」
声を裏返しながら愁香が叫ぶが、それを聞いた琴音は余計楽しそうに笑う。
「でも、落とさない。そんな愁香が大好きだ~!!」
「あんた本当に立てないのっ?!」
もはや悲鳴といった方が正しいような声で、愁香が叫ぶと、ずっとうなじを狙ってきた琴音が、電池が切れたかのようにピタリと停止した。
突然の事に愁香も驚き、恐る恐る振り返ると、琴音が眉間にしわを寄せ、いかにも不服といった顔をしていた。
「……えぇ~………、私まだ疑われてたの?」
「……そんな事で止まるのね」
最初のコメントを投稿しよう!