赤と銀

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その後、大人しくなった琴音を運ぶ愁香は、校舎内に入り、医務室のすぐ手前まで来ていた。 そして、廊下を一度曲がると、いよいよ医務室のある通りに辿り着く。 そのまま進もうとする愁香だが、その時、少し先に2人の生徒を見つけた。 「……ん?」 「はぁ。君には本当に感謝しなければならないよ。 君を医務室まで運ぶという課題を、私に与えてくれたのだから」 「うぅ……本当にすまないッス」 例えば、その2人が普通の生徒ならば、愁香は特に気にする事はなかった。 だが、彼らは普通ではなかった。 愁香達のように、生徒が、生徒をおぶっているのだ。 それも、おぶっている方はひざ丈まである銀色を靡かせる女子生徒で、おぶられている方は、明らかに小学生程度の身長しかない、非常に小さな男子生徒だった。 「私におぶられる気分はどうだい? 男の子である君が、女の子である私におぶられる気分は?」 「そ、それはさっき言ったッスよ……!!」 「1回言ったんだから、後は2回も3回も変わらない気がするが」 「……悪くないッス」 「声が小さい」 「……ッ、凄く良いッス!! 最高ッス!!」 「女の子に背負われて最高だなんて、君は凄まじい感性の持ち主だね。 君のような素晴らしい人間の事を、世間一般では変態と呼ぶんだよ。 覚えておくと良い」
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