1人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、大人しくなった琴音を運ぶ愁香は、校舎内に入り、医務室のすぐ手前まで来ていた。
そして、廊下を一度曲がると、いよいよ医務室のある通りに辿り着く。
そのまま進もうとする愁香だが、その時、少し先に2人の生徒を見つけた。
「……ん?」
「はぁ。君には本当に感謝しなければならないよ。
君を医務室まで運ぶという課題を、私に与えてくれたのだから」
「うぅ……本当にすまないッス」
例えば、その2人が普通の生徒ならば、愁香は特に気にする事はなかった。
だが、彼らは普通ではなかった。
愁香達のように、生徒が、生徒をおぶっているのだ。
それも、おぶっている方はひざ丈まである銀色を靡かせる女子生徒で、おぶられている方は、明らかに小学生程度の身長しかない、非常に小さな男子生徒だった。
「私におぶられる気分はどうだい?
男の子である君が、女の子である私におぶられる気分は?」
「そ、それはさっき言ったッスよ……!!」
「1回言ったんだから、後は2回も3回も変わらない気がするが」
「……悪くないッス」
「声が小さい」
「……ッ、凄く良いッス!! 最高ッス!!」
「女の子に背負われて最高だなんて、君は凄まじい感性の持ち主だね。
君のような素晴らしい人間の事を、世間一般では変態と呼ぶんだよ。
覚えておくと良い」
最初のコメントを投稿しよう!