赤と銀

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(確か、同じ剣術総合科にいた……) 2人、むしろおんぶしている女子生徒の事を、愁香は知っていた。 彼女はさきほどまで、愁香と同じ場所で授業を受けていたからだ。 しかも、それだけではない。 鬼のように怖く厳しいあの田端が、彼女の事を褒めたのだ。 実際、愁香が見ても彼女の動きは素晴らしい。 だから、彼女の事を覚えていたのだ。 「小さい男の子が女子生徒におぶられてる。 なんであんなに小さい子がいるんだろ?」 愁香の背中から顔を覗かせた琴音が、不思議そうな声を出しながら、その2人を指差した。 「全く……ん?」 「あ」 ちょうどその時、女子生徒がこちらに気付いた。 慌てて琴音は指していた指を引っ込める。 女子生徒は1秒ほど愁香達の事をじっと見つめた後、ゆっくりとこちらに向かって歩き出してきた。 明らかにサイズの合っていない白の古びたコートを羽織っている彼女は、首をかしげながら口を開く。 「おや、君たちは……同じ剣術にいた……?」 「不当愁香よ」 「中野琴音でーす!!」 愁香達が自己紹介をすると、綾は人当たりの良い笑みを浮かべた。 みんなに好かれそうな笑顔を見せる人だ、と愁香は素直に思う。 親しみやすいというか、刺がないというか、こちらの話を吸収してしまうような柔らかさが彼女にはある。
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