2人が本棚に入れています
本棚に追加
さて。
世界広しといえど、現在の俺のような体験をした人はまずいないだろう。
まさに、非現実的かつ非人道的な事態である。
非現実的といっても、特別なことではない。多くの人が妄想し夢見た架空の超能力、魔法。そのありきたりな非現実要素を操るという少女が目の前にいる。ファンタジー小説等では、うんざりするほどよくある状況だ。
……だが、そんなありきたりな状況ではつまらない、とか言われても、実際そこに居てしまうのだから仕方がない。細かい理屈はこの際抜きだ。
魔法使いの少女が目の前にいる。まぁこれだけなら――ないとは思うが――何かの間違いか手違いで、偶然体験してしまった人が世界に一人や二人はいるかもしれない。なにしろ、ファンタジーではよくあることだ。現実に無いとは言い切れない。
しかし、俺は断言できるね。
その状況で、その少女に、インフルエンザの診察を行ったのは、俺の他にはいまい。
最初のコメントを投稿しよう!