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なんだかんだ言ったが、その間に診察は済んでしまった。何という早業。2ページで終わる診察である。
「新型のインフルエンザだね」
病名をサラリと告げる。
相手がどこの世界の住人だとしても、ウイルスが検出されて高熱、となればそういうしかない。他に当てはまる病名もないし、こっちの世界の俺にはこっちの世界基準で診察する他ないわけで。
しかし、魔法使いでも同じように症状がでるとは、おそるべしインフルエンザウイルス……なんて呑気なことを考えていたら、少女が口を開いた。
「いん、ふる?」
「そっちの世界じゃなんて言うのか知らないが、こっちの世界じゃそんな病名がついてる」
別に重症ってわけじゃないし安静にしていれば多分治るよ、と付け加える。最近流行ってるしな、別段珍しい患者じゃない。
……魔法使いじゃなければだけど。
「しかし、いつの間にそんなインフルエンザなんかにかかっちまったんだ? そんなに他の人と接触する機会あったのか?」
「分からない……でも……」
言いかけたが、辛いのかそのまま口をつぐんでしまった。まぁこの熱じゃ仕方ない。魔法使いの平熱が普通のニンゲンと同じくらいだとしたら、39度は間違いなく高熱だしな。
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