~第一章~

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そのときの彼は今とは違い野球への情熱に溢れていた そんな彼に憧れて弟も野球を始めたのだ そのときの兄弟の夢は兄弟バッテリーで甲子園にいくことだった 客観的に見てもその夢は決して絵空事ではなかったのだが、今となってはそれはまさしく叶わない“夢”になった なぜなら、彼が高校で野球部にはいらなかったからである その理由についてはまたのちほど記そうと思う 「でもよう、お前も中3なんだから受験勉強とかしなくていいのか?」 お茶をすすりながら尋ねた彼の場合は、勉強しなくても受かりそうなところを選んで受けたので特に苦労はなかったようだ 「俺のときは母さんも父さんもどうでもいい感じだったけどよ、お前の場合はみんな期待してんだからな」
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