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川中島とは、信濃川の支流・千曲川(チクマガワ)と犀川(サイガワ)の中州とその近辺、いわゆう善光寺平(ゼンコウジダイラ。長野盆地)のことである。
現在の長野県北部、長野市周辺に当たり、当時この地では、信濃全土を征服しようとする武田信玄と、それを阻止しようとする上杉政虎との間で激しい争奪戦が繰り広げられていた。
この年の三月、信玄は政虎(当時は長尾景虎)が北条征伐に向かったスキに川中島に進出、千曲川の東に海津城(カイヅジョウ。松代城。長野市)を築き、股肱(ここう)の臣・高坂昌信(コウサカマサノブ。虎綱。弾正忠)を詰めておいた。
「政虎、春日山を発ちました。総勢一万三千!」
忍者の報告を受けた昌信は、すぐさま狼煙(ノロシ)を上げた。 信玄は領内各所に狼煙台を設けていた。海津城~甲府間の狼煙は、わずか二時間半で伝達されたという。
「来たか、政虎」
八月十八日、信玄も川中島に向かった。甲府出発時は一万人だったが、途中で多くの部隊が合流、一万八千人に膨れ上がった。これに海津城の守兵二千人を加えると、武田軍の総勢は二万。
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