第3話 秘密

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リュエ様は、私の髪の 色なんて全く気にせず 家に迎え入れてくれて、 ボサボサになった髪型を 綺麗に整えてくれた。 サーナも、同い年の 女友達ができたと言って 私を抱き締めてくれた。 初めて誰かに受け入れられて 優しくしてもらって… 私はあんまりにも嬉しくて、 二人の前でわんわん泣いた。 そして、今に至る。 「あっ、そう言えば! 今日、ジタンとシルビアが 帰って来たんですよ!」 サーナが声を弾ませて言った。 「まぁ、随分早かったの ですね。お二人共お変わり ありませんでしたか?」 「はい!ジタンは 少し身長が伸びてて… あっ、あと武術も強くなって いたのでびっくりしました!」 サーナがまるで自分のこと みたいに楽しそうに話した。 リュエ様は私たちの 交友関係もよく知ってる。 厳しい使いの人は、堕天使と 話すことすら禁止するらしい けど、リュエ様はそんなこと 全然気にしない。 むしろ、『天界は、天使と 堕天使の楽園ですからね。』 と言ってくれる。 「シルビアさんはどうでしたか?」 リュエ様が私に 目を向けて聞いてきた。 「えっと…」 私はシルクのことを 頭に浮かべただけで 少し顔が熱くなった。 「変わりありませんでした。 ジタン同様、ちょっとだけ 背が伸びていた気がします。」 私はできるだけ 平常心を保って言った。 だけど、 「あら?心が少し 揺らいでいるみたいですが… 何かありましたか?」 と、微笑みながら 首を傾げて聞かれた。 …やっぱりダメかぁ… リュエ様は一瞬で 人の心を読むことができる。 魔法とか能力とか じゃなくて、直感で。 だから私たちは、 リュエ様にだけは 嘘も隠し事もできないの。 「…はい、ちょっと…あの…」 「キリカ、帰ってきて早々に シルビから口説かれてる みたいなんです。」 サーナが割り込んで ニコニコと楽しそうに言った。 「ちょっ、サーナ!」 私はかぁっと顔に 熱がこもりながら叫んだ。 .
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