第1話 約束

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私は必死で抵抗し、 今に至るのである。 まだ追っ手が来ていると 恐怖に溺れながら 走っていると、大きな門が 見えてきた。 あれは…天界へ通じる門! 私は天界に逃げようと 思い付き、急いで門に 向かって走り出した。 「天界に参られますか?」 天界の門番が私を見下ろして 優しく聞いた。 私はうんうんと何度も頷き 門を開けてもらった。 「あ…ありがとうございます!」 門番にそう叫ぶと走って 門の中へと入って行く。 木々に覆われた細い道を 抜けると、広い場所に出た。 私はとにかくがむしゃらに 走り続け、ある場所に着くと 隠れるようにして壁にもたれ、 ズルズルと座った。 必死に走ったから 息がすごく上がっている。 汗と涙もドッと出てきて 今更ながら大泣きをする。 「うぅ…ふっ…」 何で…私だけこんな目に… 膝を抱えて泣いていたその時、 ガサガサッ ドキンと心臓が跳ねた。 目の前の林から何かが こっちに近付く音がする。 ガサガサ…ガサガサ… 私は腰を抜かして 動けなくなってしまった。 どうしよう…どうしよう…! 焦りと恐怖で震えていると 音のする方から人の影が 見えた。 「ひっ…っ!」 びっくりして目を見開くと… 目の前に一人の 男の子が現れた。 夜の林の中、ハッキリとは 見えないけど、白の長い髪に ボロボロの服を着た 同い年くらいの男の子が 私を睨んでくる。 白い髪…天使! 私は捕まると思って ギュッと目を瞑った。 「……おい」 「…っ!」 ものすごく近くで声がして 咄嗟に目を開いて驚いた。 男の子が私の目の前に 立っている。 「あっ…あぁ…」 私は怯えながら声を出すと 男の子は私を見下ろしながら 「お前…天使か…?」 と呟いた。 「……え?」 質問の答えを待っているのか 男の子はじっと私の目を 見ている。 私は震えながらうんと頷くと 男の子が一瞬ホッとした ような顔をした。 .
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