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木々の間から
そっと背筋を撫でるような
冷たい風が吹きつけた。
木の一本一本が高く聳え
上の方に空を覆い尽くす
くらいに茂る葉が
まるで僕らを見下ろし、
品定めをしている
巨人のように見えた。
いざ樹海を目の前にしてみると
自然と手は汗ばみ、
呼吸がはっはと速くなり
僕の緊張感は最高点に達した。
僕は怖いのかもしれない。
これより先は
歩きで進むしかなく
迷ってはいけないと
標を残しながらも
全員が固まって
移動する事になる。
果たして
この先どうなるのかなんて
今の時点で分かる人は
誰もいないであろう。
彼を除いては、
キィーーィ
小さな小さな音が鳴りはじめた。
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