第1章 才能

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海から運ばれてくる 心地よい爽やかな風が 何に遮られることもなく 僕の髪をなびかせた。 太陽から真っすぐに 地面に向けて射し込む光は 海という力強い協力を得て その背中を押し出され これまた僕の視界を眩ませる。 僕がこんな海の景色を眺めるのも 物心がついた時からの日課である。 楽しいかと聞かれたら 答えはノー。 寂しいのかと聞かれても 答えはノー。 特に嬉しいわけでも 暇なわけでもないけど ただ何となく不思議だった。 なぜ何もない海が動くのか、 塩辛いのか そんな不思議な事を 見るために海に通っていた。
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